腸の中に存在する免疫系
先ほど食べた食事は、いま身体のどこのあたりを通過している頃か?などと考えたことはありませんか?
まず、人の口に食べ物が入ってから出るまでの距離は約9m、時間にして約24~30時間かかります。消化器官の中で一番長いのが「腸」です。大腸の内壁を広げると、その表面積はテニスコート半面分=約100平方メートル、
さらに小腸はその2倍、テニスコート1面分=約200平方メートルもの表面積があると言われます。
その通り道「消化器官」は、口からはじまり、食道や胃、小腸や大腸、肛門にいたる一本の管になっています。
ところで、人間の消化器官は、体の内側にありながらも、口や肛門を通して外側にも通じています。つまり、入り口と出口は、常に外気に触れている皮膚と同じように考えることができ、病原細菌や病原ウィルスなどにも常々さらされているのです。簡単に言えば、風邪や病気の原因となる病原菌が入り込んだりするのは、主には口や鼻の粘膜などを通じてということになります。
ただし、人間の体のすばらしいところは、たとえ体の敵になるものが体内に侵入してしまったとしても、体の脅威に対してちゃんと防御システムを備えていることです。消化器官の中に存在するその防御システムは、「免疫系」と呼ばれ、安全なものは排除せずに、体に傷害を与える危険なものだけと戦って排除するという合理的でなおかつ非常に賢い仕組みです。
ところで、近年の免疫学の中でも、注目されているのが、腸管に存在する免疫システム「腸管免疫」です。次の章でもう少し詳しく「腸管免疫」を説明しましょう。
腸管免疫とは?
人間の腸管には、500種類以上、約100兆個の腸内細菌が生息し、一定の構成比を保った腸内細菌叢(腸内フローラ)を形成しています。
この中に存在するのが「腸管免疫」です。腸管免疫には「免疫細胞の数が多い」また、「病原細菌に対抗するために免疫を活性化する半面、栄養を摂り入れるためには免疫を抑制する」など優れた特徴があることがわかってきています。
一方で、この免疫システムの働きが低下すると、身近なところでは風邪や感染症、時にはがんや心臓病などを発症することもあります。また、何らかの原因で免疫の機能を担っている細胞の数や質のバランスが崩れるとアレルギー、自己免疫疾患などの病気を招くこともあります。
このような免疫の機能は、栄養不足や栄養の偏り、加齢、ストレスの増加などによって低下することもわかっています。特に高齢化による免疫力の低下は顕著で、年とともにさまざまな生理機能が低下し、高齢者にはガンや感染症が多くなるのもこのためです。
しかし、近ごろでは、高齢者だけでなくて、若い人たちにも免疫機能に変化が起きています。
たとえば、食の欧米化、大気汚染、環境の変化などでアレルギーが増加しています。
まとめ:腸とアレルギーの関係
花粉症、アトピー性皮膚炎、ハウスダストによる鼻炎や結膜炎等々……アレルギーは、現代人を困らせ続ける悩みの種です。昨今では、アナフィラキシーといわれる、ショック症状をともなう深刻な急性反応を引き起こす食物アレルギーに至るまで、様々なアレルギー症状が私たちを包囲しています。
これらアレルギー疾患が、あなたの腸の健康と無関係ではないといったら驚くでしょうか? しかし、アレルギーとは端的にいえば、ある物質に対する異常な免疫反応がカラダに起きること。免疫細胞の約6~7割が集中しており最も大きな免疫系といわれる腸管免疫系が、人体を司っていることは間違いなさそうです。
離乳食前に形成される腸内フローラが食物アレルギーに関与している可能性がある
食物アレルギーの発症には、腸内フローラにおける腸内細菌の在り様、腸管免疫の働きが特に大きく関与しているといわれますが、0~2歳児に多く、実に子供の約1割が食物アレルギーであるとさえいわれています。
大人のアレルギーも増加中……原因は食事環境の変化や抗生物質の乱用では?
殺菌・無菌化が進む現代の衛生環境が、かえって免疫力を低下させアレルギーを引き起こす原因となっている可能性も無視できません。また、動物性食品を中心とした食事内容の欧米化による現代人の腸内フローラの変化が成人のアレルギーを増やし、さらに子供へそれが遺伝していくという悪循環も生んでいます。
腸管免疫は食物アレルギーの抑制に関与していると考えられる
腸管免疫には、外部からカラダに侵入する細菌を識別・認識すると、抗体が産生され防御反応が起きる仕組みがあり、逆に食品のような安全なものには免疫抑制機能が働くという優れたメカニズムを有しており、これによってアレルギーを御しているのです。
腸管免疫の機能を高める食品
食物繊維を摂取することが、腸内細菌による短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)産生を促し、アレルギー反応を軽減できるという海外の研究があります。また、プロバイオテックス、プレバイオティクスが腸の働きに有効であることは広く知られています。
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摂取効率がいい!だから、乳酸菌生産物質
プロバイオティクスやプレバイオティクスによる健康法は、腸内フローラの善玉菌を増やし健康を維持しようという考え方ですが、乳酸菌などの生きた菌を飲んでも、実際は腸に届く前に強い胃酸や胆汁でほとんど死滅してしまい、なかなか生きて腸まで届きません。
また腸に到達してもそこに定着できず通過菌として排泄されてしまう運命なのです。しかしバイオジェニックスによる健康法は、体外でつくられた乳酸菌生産物質をダイレクトに摂りますので、効率よく健康に寄与します。
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