学会発表(日本薬学会・第135年会)
かねてより乳酸菌生産物質は、生体の生理機能を改善すると報告されている。その中でも、肌への保湿効果に着目し城西大学と弊社にて行っている共同研究の成果について、日本薬学会に於いて発表を行っている(2015年第135年会~)。
※実験内容には、in vitro(試験管)やマウスを用いたものがあり、実験結果が人体への有効性を直接証明するわけではございません。
乳酸菌生産物質の生物系薬学試験(皮膚・感覚器官)1
乳酸菌生産物質経口投与によるヘアレスマウスの角層中アミノ酸量に対する影響
徳留嘉寛 教授、増谷法臣 氏(城西大学薬学部)、玉根強志(光英科学研究所)
於:兵庫医療大学(2015年3月26日)
【目的】
乳酸菌の代謝産物である乳酸菌生産物質は、生体の様々な生理機能を改善することが報告されている。我々はこれまでに乳酸菌生産物質経口投与によるUVB照射ヘアレスマウス(HR-1、♂)の角層水分量の改善効果を報告してきた。しかし、その作用機序の詳細は不明である。そこで、今回は角層中の天然保湿因子(Natural Moisturizing Factor:NMF)に着目した。NMFは表皮に存在する保湿因子の総称で、保湿性と吸湿性に優れ、角層の水分保持機能に大きく関与している。NMFの主成分はアミノ酸、またはアミノ酸由来の物質である。そこで我々は乳酸菌生産物質経口投与後の角層中のアミノ産含量を測定し、皮膚改善効果を比較検討した。
【方法】
試験にはヘアレスマウスを用いた。試験期間中は乳酸菌生産物質を経口ゾンデ法により毎日投与した。投与開始7日目にUVBを単回照射した。試験初日、UVB照射日、試験最終日にテープストリッピングによってマウスから角層を採取し、遊離アミノ酸を抽出後、アミノ酸分析器(JLC-300、日本電子)によって定量した。
乳酸菌生産物質の生物系薬学試験(皮膚・感覚器官)2
HR-AD投与マウスの経表皮水分損失量、角層水分量に対する乳酸菌生産物質経口投与の影響
徳留嘉寛 教授、増谷法臣 氏(城西大学薬学部)、玉根強志(光英科学研究所)
於:デザイン・クリエイティブセンター神戸(2015年3月28日)
【目的】
当研究室ではこれまでに、紫外線 B波 照射マウスに乳酸菌生産物質を経口投与することで、経表皮水分損失量(transepidermal water loss:TEWL)の増加、角層水分量の低下を抑制することを報告してきた。本報告ではヘアレスマウスにHR-AD飼料を与え、アトピー性皮膚炎様モデルを作成後、乳酸菌生産物質を経口投与し、その後のTEWLの増加および角層水分量の低下を抑制することを目的とした。
【方法】
乳酸菌生産物質の原液は、豆乳に乳酸菌を植菌し、5日間培養することで得た。アトピー性皮膚炎モデルマウスはHR-ADを40日間与えることで作成した。乳酸菌生産物質は死菌を含むため、死菌を含んだ原液と、死菌をフィルターろ過後のろ過液をサンプルとした。サンプルは1日0.3ml30日間経口投与し、経時的にTEWLと角層水分量を測定した。
乳酸菌生産物質中の脂質成分のHR-AD投与マウスの経表皮水分損失量と角層水分量に対する影響
徳留嘉寛 教授、増谷法臣 氏(城西大学薬学部)、玉根強志(光英科学研究所)
於:パシフィコ横浜(横浜みなとみらい21)(2016年3月29日)
【目的】
乳酸菌生産物質は乳酸に豆乳を加えて一定時間培養することで得られる。これを動物に経口投与することで、総コレステロール、中性脂肪値の改善などが報告されている。今回は、乳酸菌生産物質中の脂質成分に着目し、本成分がアトピー性皮膚炎様モデルマウスの経表皮水分損失量(TEWL)と角層水分量に与える影響について検討を行った。
【方法】
ヘアレスマウス(HR-1系)にHR-AD飼料を一定期間与えることで、アトピー性皮膚炎モデルマウスを得た。乳酸菌生産物質は乳酸菌を豆乳に接種し5日間培養し、乳酸菌生産物質の原液の濾過物にエーテルを加えて脂質を抽出した。このようにして、脂質成分と残渣に分離し、原液と同量になるよう生理的食塩水で調整した。これらを0.3mlずつ30日間ゾンデにより経口投与し、TEWLと角層水分量を測定した。