学会発表(日本薬学会・第143年会)

日本薬学会第143年会,北海道大学

当社の基礎研究室では、大学との共同研究のもと乳酸菌・ビフィズス菌発酵代謝物の成分分析および機能性の探索を行っております。共同研究の成果につきまして、これまで日本薬学会(2015年第135年会~)に於いて発表を行って参りました。

そしてこの度、日本薬学会第143年会において、基礎研究室・室長の玉根強志(城西大学薬学部)がポスター発表を行いましたのでご報告いたします。今回は、乳酸菌生産物質の内臓脂肪蓄積抑制について、細胞レベルで検証した結果となります。

※実験内容には、in vitro(試験管)やマウスを用いたものがあり、実験結果が人体への有効性を直接証明するわけではございません。

 

乳酸菌生産物質の生物系薬学試験(脂肪細胞)

基礎研究室長,玉根強志

乳酸菌生産物質の3T3L1由来脂肪細胞の脂肪生成に対する影響

玉根 強志(城西大学薬学部)、徳留 嘉寛(佐賀大学)

於:北海道大学(2023年3月27日)

【目的】
肥満と食物との相関についての研究および報告は古くから数多くある。肥満は高血糖や心疾患などの生活習慣病と深く影響しており、近年食物を通じて生活習慣病のリスクを軽減しようとする研究が盛んに行われている。当研究室では乳酸菌生産物質の健康に与える影響について研究しており、高脂肪食給餌マウスに対して、血糖値の上昇抑制、血中遊離脂肪酸の上昇抑制および内臓脂肪蓄積を抑制することを見出した。そこで本研究では、その作用機序の解明を目的に乳酸菌生産物質の3T3-L1由来脂肪細胞の脂肪滴に対する影響について検討した。

 

【方法】
乳酸菌生産物質は豆乳に乳酸菌を植菌し発酵させて得た。実験には乳酸菌生産物質を遠心分離し、その上清を用いた。脂肪細胞は3T3-L1細胞を分化させて得た。このようにして得られた脂肪細胞を乳酸菌生産物質添加培地中で培養し、MTT色素を用いた生存率、Oil Red O染色による脂肪滴を評価し、脂肪関連遺伝子発現を定量的PCR法で検討した。

 

【結果・考察】
考察:生存率の結果は、コントロールと乳酸菌生産物質添加群との間に濃度依存性はなかった。またOil Red O染色の結果、乳酸菌生産物質を添加した細胞中の脂肪蓄積量はコントロールに比べ、脂肪滴の面積は縮小し色素の吸光度は減少した。
以上の結果より、乳酸菌生産物質は脂肪細胞の脂肪滴生成に影響を与えていると考えられる。すなわち脂肪蓄積抑制機序は脂肪細胞数の減少ではなく、脂肪の生成抑制または脂肪消費促進と思われる。なお脂肪関連遺伝子発現量については現在検討中である。

乳酸菌生産物質,生物系薬学試験
ご来場者の方に成果のご説明を行う研究員(左)

ページトップへ