共棲培養の証明
乳酸菌生産物質は、ビフィズス菌・乳酸菌を共棲培養方式にて発酵して得られる代謝産物ですが、乳酸菌生産物質における発酵には、共棲状態にある菌で発育・増殖させることが必須条件となります。
本項では、一般的にはあまり馴染みがないであろう同定証明書をわかりやすく紐解きながら、「共棲培養」という培養方法ならびに「共棲」という重要なキーワードにフォーカスを合わせていきます。
同定とは
同定された、たしかな菌群
(一財)日本食品分析センター
こちらでは、実際の自社保有菌(本項では、仮称「No.007」とします)を具体例に挙げて、説明します。この仮称:No.007菌は、光英科学研究所の元菌保存会社である有限会社アーク技研において、長年に渡り共棲培養を繰り返し継代保存されてきた、多くの菌のチームの中のひとつの菌群です。
これは光英科学研究所の16種35株の菌を構成しているチームのひとつでもあり、その存在は日本食品分析センター多摩研究所によって証明されています。この菌の存在証明を「同定」と呼ぶのですが、では同定の実際の記録に基づき説明しましょう。
- 日本食品分析センターの試験報告書の試験項目には、「細菌の分離・同定」と表記してあります(※表紙)。
- 試験目的として、「検体から優勢に分離される細菌について同定を行う」 とあります(※1/7ページ)が、これは提出した仮称:No.007を検体として同定の試験を行ったという意味です。
また、試験概要として以下の工程が記述されています。
- 1)検体の菌(仮称:No.007)を培養して共棲状態にある菌群から優勢に生育した形状の異なる菌をa、b、c、dの4種類に分別する、
- 2)a、b、c、dの菌を手順に従って、別々に同定作業を行う、
- 3)その結果、分離された菌につき、個別に菌の種類の判定を行う(※2/7ページ)、
- a、b、c、dの菌それぞれの性状について試験した結果(※3/7、 4/7ページ)は、菌種からその菌株を分別する際の決め手となる、重要資料です。
ちなみに30項目以上の試験をするのですから、それなりの日数を要する大変な作業で、光英科学研究所の場合、100種以上の同定に2年以上を費やしました。
- 菌の同定結果は、ご覧のように記載されています(※2/7ページ・表-1)が、その菌種のルーツについての解説および、それを判断する際に使った参考文献も明記されています。
- また最後には、分離したaからbまでの菌の形態を証明する写真が添付されています(※6/7、 7/7ページ)。
この試験結果を以て、長年継代培養にて保存されているNo.007菌のチームは、4種類の菌の共棲状態であることが証明されたのです。
試験報告書全文
実際の資料イメージ
同定は共棲培養の必須条件
光英科学研究所では、こうした同定試験結果を有するたしかな菌群のみを用いて、共棲状態にあるチームを組み合わせています。その結果、16種35株にまとまった総合チームを以て、大量培養(発酵)の過程へと移ります。
16種35株というのは、いわば、菌の選抜メンバーの選りすぐりであり、集大成といえるでしょう。上述した確かな履歴に基づいてベストメンバーを編成し、さらに120時間の発酵過程を経て生まれた代謝産物のみを、純正なる乳酸菌生産物質と呼称できます。単に相性の良い乳酸菌を集めて培養を行っているわけではないですし、また出来上がる代謝産物の品質も当然、異なります。
腸内フローラを形成している菌群がそうであるように、あくまでも基本となるのは、ヒトの一生に渡り共棲状態で腸壁に定着している複数の菌群の存在であり、これが共棲培養を行う際の前提となります。つまり共棲培養という方式は、同定によって、チームの構成菌ひとつひとつの存在証明が為されていることが必須条件であり、同定の結果を以てはじめて確立することが出来た、光英科学研究所独自の培養方法なのです。
共棲培養のQ&A