2021.06.30

身近雑記

第127回 叔母さんのオートミール

最近の健康志向の高まりの中、オートミールの人気が急上昇しています。

 

6月7日のNHK番組「あさイチ」でも、腸活の強い味方「発酵性食物繊維」のパワーというタイトルで、オートミールの素晴しさを放送していました。

昨今の日本人の食生活をみてみると、穀物離れによる食物繊維の摂取量が減っているのが現実の姿です。

 

健康長寿の時代になって、人の腸内環境を良好に維持することが求められますが、それには腸内に住み着いている善玉菌のエサとなる発酵性食物繊維を摂ることが、望ましいといわれています。

 

そこで今、昔から欧米人が朝食としていたオートミールが注目されてきた訳です。

オートミールは、オーツ麦を脱穀した後に調理しやすく加工したもので、オーツ麦とミール(食事)を掛け合わせて呼ばれるようになりました。

腸内環境を良好にするにはぴったりな食材で、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維が1:2の理想的バランスで含まれています。

1食分の糖質は白米の1/3、カロリーは1/2で、パンや白米に無理なく置き換えることができます。

 

そして私は、このオートミールをみると、幼少期に面倒を見てくれていた叔母のことを思い出します。

私が生まれたのは、太平洋戦争勃発の前年の1940年12月。

政治家だった父は、当時の高齢出産にあたる年齢だった母に、私を出産するのを一度は反対したそうです。

困った母が、アメリカに30年居住していた姉(私の叔母)に手紙を出して相談したところ「私が日本に帰ってでも面倒を見るから、産みなさい」と、返事が来たそうです。

そしてその通りに、叔母は私のために日米開戦前の最後の客船で帰国して、翌年生まれた私の面倒を見てくれました。

子供のころ、叔母に「貴方がこの世に居るのは私のお陰だからね」とよく言われたものです。

 

アメリカ帰りの叔母は、いつも流暢な英語で駐留軍の兵士に話しかけては、彼らからガムやチョコレートや缶詰を入手して、私に食べさせてくれました。

 

そして叔母がつくってくれる毎朝の食事も、アメリカ式に、オートミールとマッシュポテトでした。とはいえ、戦中戦後ですから、日本でオートミールは入手できません。そこで叔母は麦を押しつぶして加工したものを代用品として調理してくれたのです。

 

食感として、今のオートミールと変わりないものであったのを覚えています。

成長して叔母の手から離れたあとも、私は叔母考案のアメリカ式朝食を好んで、60歳まで続けていました。家族の中で私だけが継続して食べていた朝食レシピです。思えば、幼少期から還暦までの長い年月に渡って毎日、一定量の食物繊維を食べた事になります。

 

朝食を家で食べる時はもちろんの事、仕事の出張や旅行に行った時にも、ホテルの朝食レストランでオートミールを見つけては、叔母のオートミールと比較しながらおいしく食べたのを、今でも懐かしく思い出します。

 

その当時を思い出して、先日スーパーマーケットで購入してきたオートミールを、説明書の通り、電子レンジで調理してみました。

すると、どうしてもザラザラとした繊維質の舌触りが残り、おいしさが半減しているように感じます。

私が食べ続けていたオートミールは、クリーミーで、まったりした食感が味わえるものでした。

舌触りがよいほうが、毎日の習慣として続くのではないかと思います。

電子レンジではなく弱火のナベでゆっくり加熱するとザラザラ感はなくなりますが、たいへん手間がかかります。

そこで私は、オートミールに水を加えてレンジを”解凍モード”(低い温度)にして4~5分加熱して、その後さらに”あたためモード”(通常温度)にて40秒くらい加熱することで、ザラザラ感が無くやわらかく出来上がることを発見しました。

やわらかさは”あたためモード”の秒数で加減してみてください。なお、オートミールにいろいろと食材を加えるレシピがありますが、やはりシンプルにオートミールだけで味わうのが長続きする秘訣ではないかと思っております。

 

毎日おいしい白米のご飯を味わうように、ほんとうのオートミールを味わってみてください。

きっと健康のための良い食習慣となることでしょう。

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