2024.10.28

身近雑記

第168回 「ヒトにはヒト由来の乳酸菌」たちが醸成した乳酸菌代謝産物

晩秋の候となりますが、まだ日中は暑さも感じる今日この頃です。

皆さまにおかれましては、お変わりなくお過ごしでしょうか。

 

さて前回のブログにて、共棲培養に使う乳酸菌、ビフィズス菌のチームつくりについてご説明いたしましたが、今回はチームでつくり出した代謝産物が私たちの腸内に生まれた時から住み着いている腸内フローラにどのように適合するかについて、私の持論となりますがお話をさせていただきます。

 

私は64年前に、20歳にて大谷光瑞農芸化学研究所に入社した時のこと。

研究室にて目前に並んでいる数百本に及ぶ乳酸菌の試験管を見て目を見張りました。

 

そして、仕事に慣れたころに正垣所長に「先生、この多くの乳酸菌はどこから来たのですか」と素朴な質問をしたところ、所長は「いい質問だね。この連中はあなた達のおなかにいる菌たちと同じ種類なんだよ。仲良くしてやってください。」とのご返事をいただいたのです。

 

成程、これが共棲培養をするための原点になるのかと、身の引き締まる思いをしました。

そして、正垣所長の指導のもとに菌と菌が仲良く働いてくれる組み合わせをして、共棲状態に成るチームづくりに専心したのです。

 

その研究過程で体験したのは、相性の良い菌でチームを完成させたものに新たに単菌の乳酸菌を組み込むことは困難だったことです。

 

この事象を私たちの腸内フローラのチームに当てはめると、生きた乳酸菌を腸内に定着させることは実に難しいことであるという現実が解釈されます。

 

乳酸菌生産物質の製法においては、チームをいくつかつくり、チームごとに組み合わせていきます。

このように研究室で共棲状態を完成したチームをあわせる形ですと、組み込む(共棲させる)ことが可能となりました。

これは共棲状態の各チームがつくり出した代謝産物を使って、チームとチームとの対話をしていることが推測されます。

 

私たちのおなかの中においては、ヒトの腸内に棲む細菌群が互いに代謝産物を産み出し、その総合力にて私たちの健康に寄与することが理解できます。

 

今、健康食品の市場では、乳酸菌、ビフィズス菌の機能性表示食品の届け出が各種合計で750品目あり、その殆どが単機能の代謝産物を関与成分としています。

 

しかし乳酸菌代謝物のもつ多機能を、単一のもので補おうとすることは、これらにおいては現実的には難しいこともお含みおきいただければ幸いです。

 

私たちの健康に寄与するものとしては、やはり総合的に作用する乳酸菌を共棲培養して得られた代謝産物の必要性が問われるところでございます。

 

 




近年は健康食品市場だけでなく、一般的にも「健康には乳酸菌」という概念が定着しつつあります。

しかし、人の健康に役立つのは乳酸菌そのものだけではなく、その代謝物である「乳酸菌生産物質」がより重要です。

この本には、16種35株のビフィズス菌を含む乳酸菌の共棲培養技術のノウハウや、「乳酸菌生産物質」の商品化の知識など、私の視点から見た「乳酸菌生産物質」に関する情報が余すところなく盛り込まれております。

ぜひ第1巻に続き、第2巻もお手元で開いていただければ幸いです。

 

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